今どき今さらAM送信機を自作しようとしている方を、当方は全力で応援します!
AMトランスミッターやAMラジオ送信機なんて呼び方もありますが、要は中波帯、AMラジオに電波を飛ばして音楽とかを鳴らすってやつですね。
LC発振回路を使ったベース変調方式とか、昔ながらの回路も良いんですが、このご時世ですから高性能なAM送信機を自作してみたいと思いませんか?
ここで紹介する自作のAM送信機の回路にスマホから音楽を流して、ストレートラジオとヘッドホンで聴いてみてください。クリアな高音とパンチのある低音!そんなAMらしからぬ音に「これはFMか?」と疑ってみたくなると思います。
AM送信機の自作
AMトランスミッターは、電子工作ネタの一つとして昔からありました。AMワイヤレスマイクってのもよく見かけましたが、あまり人気じゃなさそうですよね。理由は、音が悪いとか不安定だとか色々ありますが、やはり「飛ばない!」じゃないでしょうか。
電波を良く飛ばすためには、波長に応じた長さのアンテナ線が必要です。531KHz~1602KHzであるAM波の波長は、565m~187mもあります。とりあえず有効なλ/8の長さにしたとしても、何十メートルものアンテナが必要になってしまいます。普通はそこまでやらないから飛ばないわけですね。
でも、それでいいんです。私は子供のとき、田舎でエナメル線を何十メートルも張ったことがありますが、トラックに引っかかり怒鳴られて速攻で撤去したことがあります。
昔ながらのAM送信機の自作回路
昔からあるAM送信機の回路とは、次のような回路です。
【出典】はじめてトランジスター回路を設計する本(誠文堂新光社)
この回路は、今は亡き奥澤先生の「3石AMワイヤレスマイク」の回路図です。
音声信号を入力したければ、回路図中3.3uF位置に入力すればOK。トランジスタや電源電圧などを変えたい場合は、バイアス電圧やエミッタ抵抗の再検討とカット&トライで追い込んでいく必要もあるでしょう。
これと類似の回路は多くありますが、どれもトランジスタを使ったLC発振回路が基本になっていて、ベース電圧を変化させてAM変調する方式は「ベース変調」、コレクタ電圧を変化させる方式は「コレクタ変調」と呼ばれています。
この手のAMトランスミッターは回路が簡単で良いのですが、デリケートで気難しいくせに性能はイマイチという欠点があります。周波数安定性が悪く、時間の経過やボディーエフェクト、アンテナ線の具合ですぐに周波数が変化してしまい、その度に受信側でチューニングするのがとても面倒。そして、音量も音質もイマイチで割れやすいという・・・
実際の発信波形も歪んでいる場合が多いです。単一の周波数ならそれに合わせて回路を調整すれば何とかなりますが、送信周波数を可変式にする場合、全周波数に渡ってキレイな波形で、しかも一定の電圧レベルで発信させることはほぼ不可能です。
一石LC発振回路によるAM変調は、たとえ変調後の全体波系がキレイでも、拡大してみればこんな感じでいろんなパターンで崩れていることが多いです。
でも、ラジオで聴くと結構普通に聴こえたりするんですよね。
それから、自作AM送信機の発信コイルには、スーパーラジオの赤コイルが良く使われますが、バーアンテナを使うアイデアも昔からありました。
バーアンテナを送信に使うと電波が飛びやすいなんて書かれている記事もありますが、残念ながらバーアンテナから出るものは波長の電界を伴わない磁界であって電波の放射とは異なります。(出てないわけでもないが少ない)
電界を伴って伝わる磁界は遠くまで届きますが、バーアンテナに流れる電流で発生した磁界は距離の乗数に応じて減衰してしまうので、短い距離しか届かないんです。
でも、近くならアンテナ線を繋がなくても伝わってくれるという利点があります。
AMトランスミッターキット
自作といえばキットも自作のうちに入りますが、手頃なAMトランスミッターキットはないのでしょうか?
現在ではAMトランスミッターのキットはあまり売られていません。てか、以前からあまりありません。
まあ一応あることはあるのですが、やはり昔ながらの「AM送信機の実験キット」みたいな物がほとんどです。
AMラジオ送信機 初心者向けのキットを多数販売している「電子キット」のAMトランスミッターキット。シンプルな1石回路のようです。 |
AMトランスミッター製作キット ヤフオクで出てる2石のAMトランスミッターキット。周波数は655k/1310kHzとあります。いつなくなるか分かりません。 |
AMラジオ送信機 キットじゃありませんが、数少ない市販の本格AMラジオ送信機なので紹介しておきます。放送用としても使えるようです。 |
私が知らないだけかもしれませんが、これまでに「をぉこれは!」ってやつは見たことないですね~。
こういった昔ながらのAM送信機ではなくて、現代的というかもっと性能の良いものは作れないか?ということで考えたのが本作です。
こんな感じの作ります
「ちょっと実験的にAMラジオに電波を飛ばす」なんてのではなくて、送信周波数が安定していて音声信号も低歪で周波数特性が良いもの!を目指して作りました。
そのための仕組みとして、搬送波はデジタル的に生成し、ダブルバランスドモジュレータ(DBM)でAM変調を行うという、AMラジオ送信機としては贅沢な作りになっています。
搬送波とテスト信号の生成にDDS(AD9833)を使用。AM変調器にNJM2594を用い、2SC1815による出力増幅段を設けました。AMラジオにキレイな音声を飛ばしたり、AM信号発生器として受信機のテストや性能チェックには必要十分な性能を発揮します。
また、バーアンテナを内蔵しているので、近くに置いたラジオならアンテナ線を付けなくても十分届きます。
目的に合わせて二通りの回路がある
本作の回路では二通りの作り方があります。それは、「バリコンを付けるか付けないか」だけなんですが、それぞれ特徴が異なります。
送信同調あり | ・送信出力が高く良く飛ぶ。 ・アンテナを接続しても送信出力は安定している。 ・送信帯域が狭いので中高音のレベルが低い。 ・同調操作が必要だが少しずらすなどの応用もある。 ・バーアンテナの調整が手間。 |
---|---|
送信同調なし | ・送信出力が低く近場のみ。 ・アンテナ接続が苦手なので内蔵バーアンテナが基本。 ・送信帯域が広く音声周波数特性はフラットに近い。 ・同調操作は不要。 ・バーアンテナの調整も簡単。 |
本記事では、バリコンを付ける方を「送信同調あり」と表記しています。
ちなみに、当方の一番の目的は「自作ラジオのチェック、受信音声の周波数特性を診たい」というものなので、最終的にはバリコンなしの方を使っています。
仕様
- 送信周波数:513KHz~1620KHz 4.5KHzStep 247Ch
- 同調周波数:495KHz~1732KHz(※送信同調ありの場合)
- オーディオ入力:約0.3~1.0Vpp
- 内蔵テスト信号:20Hz~20KHz 正弦波
- 送信周波数設定
- テスト信号周波数設定
- オーディオ入力/テスト信号切り替え
- オーディオ変調(音量)調整ボリューム
- 出力同調(※送信同調ありの場合)
- 送信周波数表示
- テスト信号周波数表示
- 入力信号タイプ表示
- 送信出力レベル表示
- ローバッテリー表示
- アンテナ:内蔵バーアンテナとアンテナ端子
- 電源:単3x4本(Ni-MH可)
- 消費電流:32mA
回路図と設計
現代の利器のおかげで、シンプルながらも高性能なAM送信機の回路となっています。
PIC16F18346(内蔵オシレータ8MHz駆動)を使って、AD9833の設定やユーザーインターフェース処理などを行います。
回路の詳細
キャリア生成回路
DDS(AD9833)を利用して 513~1620KHzの正弦波を生成する回路です。AD9833はピン数が少なくパスコンを付けるだけの回路で済みます。
25MHzのマスタークロックを供給するのはエプソンのSG5032CAN。発振器なので接続するのみ。
出力(VOUT)に入っている22pF(C11)は、AD9833の出力抵抗(約200Ω)を利用して一次ローパスフィルターを構成しており、カットオフ周波数36MHzで不要な高調波成分を取り除きます。データシートの測定回路にも入ってます。
25MHzから最高1.62MHzを生成するということは、分解能は約15.4になります。
となると、下図のように不要な高周波成分が目立ってくるので、ローパスフィルターを検討することになります。
でも、このくらいの分解能ならフィルタ無しでも実害はあまりないかもしれません。しかし一応送信機ということで、少なからずノイズを発信してしまうことになるため、後段に次のアクティブフィルターを入れてきれいサッパリ取り除くことにしました。
このフィルタの部品定数は、テキサス・インスツルメンツ社の「FilterPro」というツールで設計したものです。部品定数がシビアにならずデバイスの特性の影響を受けにくいサレンキー型で設計しました。1段でも良いのですがオペアンプが余るので2段構えとし、強力な四次ローパスフィルターとなっています。
NJM2137Dは気軽に使える200MHzの広帯域オペアンプですが、閉ループでも数MHzくらいからゲインが下がってきますし、出力抵抗も2K程度と高いので、この点は留意する必要があります。
今回は単電源で使用するため、R22とR23で電池電圧を分圧してバイアス電圧を作っています。ついでにここの電圧をPICのADで計測してローバッテリーを検出しています。
AD9833のVOUT端子から、最終的なキャリア出力(CAR)までの間の周波数特性をLTSpiceでシミュレーションした結果。設計通りです。
実際のAD9833の出力(1620KHz)
正確には回路図中のP4の位置なので、C11が効いている状態です。
MCLKを割り切れない高調波成分が乗っているため毛糸みたいに見えています。
上のシングル波形。
たくさんの高調波成分と寄生容量などの影響で、実際はこんな波形になってます。
フィルタを通した後の出力(CAR)
不要な高調波成分が取り除かれて、美しい正弦波になっています。
より詳しく⇒AD9833やAD9851など使えるDDS7選と使い方
テスト信号生成回路
テストに使う「ピー」という正弦波信号を生成します。キャリア生成と同じ回路で、AD9833の周波数レジスタを 20~20KHz に設定するだけです。MCLK(25MHz)との比が大きいので、後段のローパスフィルターは一次フィルタ(R25とC28)で十分。20KHzの信号が減衰しないように、カットオフ周波数は約72KHzに設定してあります。
AD9833のVOUT端子から、NJM2594のSIG端子までの間の周波数特性をLTSpiceでシミュレーションした結果。問題ありません。
実際のAD9833の出力(1KHz)
25MHzから1KHzを生成するので、高調波成分はほとんど目立たないですね。
信号入力回路
ステレオ信号LとRの簡易ミキサとローパスフィルタです。
AMトランスミッターでは、隣接局への干渉を減らすために送信する音声信号から高域成分(7.5KHz~10KHz以上)を取り除くのが普通ですが、本作では使用目的から不要と考え本気の高域カットはしていません。
次に、変調器への入力バッファです。
入力経路にレベルを調整するボリューム(VR1とVR5)を入れているのですが、後段のNJM2594の入力抵抗が600Ωと低いうえに1Kのバイアス抵抗(R14)が入っているので、インピーダンス整合をするべくエミッタフォロアで応援します。
このバッファがないと信号レベルが落ちてしまいます。
AM変調回路
回路構成としては基本NJM2594のデータシート通りで、特殊な回路ではないです。
VR2でキャリアリークを調整し、意図的に搬送波を出力させてAM変調するように動作させるところがポイントです。
この石は、キャリアは100mVpp以下、信号は500mVpp以下で使うと歪のない出力が得られますので、それを超えないようにVR3とVR5で各入力レベルを調整します。
より詳しく⇒NJM2594を検証してみた!使えるDBMまとめ
送信出力増幅段
2SC1815使ったオーソドックスな増幅回路ですが、AM波ならこれで十分なゲインが得られます。
VR6で交流成分の増幅度を調整できるようにしています。
コレクタの負荷としてバーアンテナの二次側を利用しています。簡単に見えますが、今回ここが一番苦労したところ。
「バーアンテナの検証」で詳しく解説しています。
送信出力レベル計測
ワンチップAMラジオICで有名な「UTC7642L」のAGC電圧をPICで読み取るという方法を思いつきました。最初は、FETを使った回路やら色々考えたんですが、これを使うのが一番簡単で負荷もかけずに済みます。
データシートの標準回路は1.5V電源ですが、当回路では3.3Vで使うためにRAGC(R30)を10Kに設定しています。そして余計な音声信号をカットするために出力コンデンサ(C32)を47uFに設定しました。これにより音声信号は数mVpp程度に抑えられ、ほぼAGC電圧のみになります。
この回路の出力電圧(AGC-V)は、無信号時に約1.0V、思いっきり受信すると0.7V近くまで下がります。
バーアンテナの検証
製作に入る前に、バーアンテナを出力コイルにした場合「実際のところどうなのか?」を検証しました。また、バーアンテナの選び方についても考察します。
検証に使った回路。
ここではバーアンテナということで、巻線の少ない方を二次側(T2)と称します。
フェライトバーの長さ
フェライトバーは長いほうが良さそうに思えますが、実際はどうなんでしょう?
実験してみました。
使ったラジオは、あえて性能の低いキット組み立てラジオを使ってます。
次のデータは、フェライトバーの長さの違いによる共振時の一次側の電圧です。
- 8cm:85V
- 10cm:90V
- 12cm:83V
- 18cm:81V
共振電圧にはさほど影響しない模様です。
しかし、飛距離としては8cmより18cmの方が、0.5m程長い?ような気もしますが、プラシーボかもしれません。いずれにせよその程度の差しかありません。
バーアンテナを長くせずに、セットの小型化を優先することにしました。
コイルの位置
バーアンテナのコイル位置は、フェライトバーの端より中央にある方が飛距離が伸びることが分かりました。発生する磁束密度が高くなるようなイメージです。
また、一次側との結合度が上がるため誘導電圧も高くなるようです。
一次側のインダクタンス
バリコンを付けない場合はあまり関係ありませんが、付ける場合は共振周波数の範囲に気をつける必要があります。
本作の仕様では、送信周波数範囲は 513KHz~1620KHz です。これに±18KHzの余裕を持たせて共振周波数範囲は 495KHz~1638KHz とします。
これだけ範囲が広いと、バリコン一つではカバーできない可能性が高いので、二つ用意することにしました。
また、実際に作った同調回路には、一般に10pF程度の寄生容量が追加されます。
さらに、アンテナ端子に負荷を接続すると負荷容量も追加されます。アンテナ線もそうですし、オシロの普通のプローブも約15pFの入力容量があります。
寄生容量:10pF を想定
負荷容量:20pF を想定
最低周波数:495KHz
これらを考慮して、必要な一次側のインダクタンスを求めると189uHとなります。
そして、189uHを使ったとして同調可能な周波数範囲を求めたのが次の図です。
実際の実験でも、ほぼこの図の通りの結果が得られました。
やはりバリコンを2つ使うと、広い周波数範囲をカバーできます。最高周波数でオシロのプローブを直接当てた時でも、バリコンを回せばちゃんと同調できました。
二次側のインダクタンス
二次側のインダクタンスには適正値があります。
特に、一次側にバリコンを付けて同調回路にした場合、共振時のインピーダンスが高くなるため派手にクリップしてしまい波形が潰れて出力が上がりません。
バリコンを付けない場合でも同じで、インダクタンスが大きいとやはり波形が潰れます。
実験は、これらのバーアンテナで試しましたが、全てに同じ傾向が見られました。
さらに、がんばって空芯コイルも自作してみましたが、バーアンテナと同じ傾向を示すだけでなく、一次側と二次側の結合度が低いため思うように出力が上がらないという悲しい結果に終わりました。
ちなみに、直径を大きくすれば結合度は上げられると思います。
それから、ここまで端に寄せてハミ出させると数uH程度まで減るので波形がキレイになって出力がアップ!・・・するんですが、先に実験した通り中央にコイルを置いた方が性能が高いので、これは却下です。
ということで、得られた二次側の適正値は下表の通りです。
バリコンがある場合 | 約1.5~2.5uH |
---|---|
バリコンがない場合 | 約15~25uH |
バーアンテナの選び方
実験の結果、基本的にはどのバーアンテナでも同様に使えるということが分かりました。
バリコンを付ける場合は、巻線は一次側も二次側もほどいて190uHと2uHに調整する必要があるので、スーパー用(600uH)でもストレート用(330uH)でも同じことです。
バリコンを付けない場合、一次側に接続するアンテナ線には期待しないのでインダクタンスは気にしなくても良いですが、モノによっては二次側を少しほどいて20uHに調整する必要があるかもしれません。
要は、AMラジオ用で二次巻線が用意されているものを選べば良く、コイルは中央に寄せて使い、必要に応じて巻線をほどいて調整ということになります。
パーツと入手先
主に秋月電子通商と、そこで売っていないものはMOUSERを利用しました。最近DigiKeyと提携したマルツでも全て揃います。AD9833などはAmazonが安いです。
チップ抵抗やチップコンデンサは、普通のパーツ店で買い集めると結構高くつくので、MOUSERなどの海外の通販サイトでまとめ買いしておくのがオススメです。
より詳しく⇒電子工作パーツ入手先!おすすめの電子パーツ通販と店舗
主要パーツ
NJM2594V-TE1(秋月電子) データシート
なぜかテンションの上がるDBM。外付け部品が少なく自作派に最適です。最近になって、あちこちで取扱われるようになってきました。
本作AM変調器の主役、もう波形が歪んでいるとは言わせません。
AD9833BRMZ(Amazon) データシート
やっと登場した気軽に使える少ピンDDS。25MHzのマスタークロック入力で0.1Hzの分解能、正弦波、三角波、方形波が作れます。
本人?は自作AM送信機で活躍するとは思ってなかったでしょう。
SG5032CAN(MOUSER) データシート
サブコードは「25.000000M-TJGA3」、25MHzのオシレータです。側面に金属面があるので手ハンダでも余裕ですね。
PIC16F18346-I/SO(MOUSER) データシート
わりと最近の8ビットPIC。DIPパッケージなら秋月にあるんですが、本作ではSOICパッケージを使います。
NJM2137D(秋月電子) データシート
なんと2.7Vから使える200MHzの広帯域オペアンプ。最近はこんなオペアンプが¥100で買えるんですからいい時代になったもんですね。
2V59M(共立)
日本製で品質の良いスーパーラジオ用の600uHバーアンテナ。台座は使いません。共立では「AL-1P80-DJK」という型番で売られてます。
二次巻線のあるAMラジオ用のものならストレート用でも使えます。
PVC-68266(共立)
出力同調回路を付ける場合に必要。ストレートラジオ用の266pFバリコンです。これを二つ使います。
AE-AQM0802(秋月電子) データシート
手軽に使える秋月の小型LCDモジュールキット。電源のパスコンやI2Cラインのプルアップ抵抗も内蔵しています。
112-TM-ABS(秋月電子)
秋月で売っている工作に使いやすい小型ABS樹脂ケース。可動式のフタ付が付いているところがいいですね。
製作手順
まずは基板づくり。メイン基板と前面基板の2枚を作ります。
ガラスエポキシの方が良いですが、今回は紙フェノールにしました。
より詳しく⇒プリント基板の自作!感光基板を使った作り方で簡単製作
前面基板のパターンです。
緑色は銅箔、黄色は部品外形、灰色はジャンパーなどを表す補助線。灰色の抵抗らしき部品は0Ω抵抗でジャンパーとして使用しています。
サンハヤトの感光基板専用インクジェットフィルムPF-3R-A4にパターンを印刷します。
「基板1.pbf」と「基板2.pbf」をmikanで開いて、外形、hole、solder、裏B、裏C の5つのレイヤを印刷します。
現像が終わったところ。半年落ちの感光基板でしたが、まあまあです。
穴あけとカッティングが完了したところ。
この後、フラックスをうすく塗って完了です。
いよいよ実装。最初に全ての表面実装部品をハンダ付けします。
写真のルーペをこのように使えば簡単ですよ。
一番ピッチの小さい部品はAD9833。まず、端の1ピンだけに予備ハンダします。
反対側の端をハンダ付けしたら全体へ。
ブリッジしたらコテ先で余分なハンダを取り除きます。ハンダを追加すると活性化するので逆に取れやすくなります。
慣れないうちはフラックスを塗ればOK。
オシレータも同じ要領です。1ピンだけ予備ハンダしたら、部品を載せてコテをハンダに当てて上から部品を押さえます。
オシレータの方向に注意。
このオシレータは側面に金属面が用意されているので、そこにハンダを少し盛っておけば安心です。
次に、表側の部品をハンダ付けします。最初にジャンパー線、次に抵抗という感じで背の低い部品から付けていきます。
ただ、ロータリーエンコーダーとバリコンは基板を洗浄してからにするので、それ以外を全て付けます。
次に前面基板です。
3つのチップ部品と表側の部品を付けたら、スイッチ類との接続ジャンパ線を立てます。
その後、基板を洗浄しフラックスを洗い流します。スイッチやボリュームは耐洗浄ではないので要注意。
スイッチ類はこの様にハンダ付け。6pinスイッチの2pin側は、コネクタ配線に当たらないように後で曲げて整形します。
ここまできたら、スイッチごとハヤコートを吹き付けます。
LCDモジュールには、あらかじめ裏側に5mmの六角スペーサーをエポキシ接着剤で貼り付けておきます。位置は端の中央。
後でビス止めするんですが、こうしないと振動でビンビンと震えたりして不安定にります。
プルアップを有効にするジャンパも忘れずに!
裏側はこんな感じ。
バリコンはメイン基板にハンダ付けるのですが、ここでは仮止めして具合を見ているだけです。
この時点までに、コネクタケーブルを作っておきます。
より詳しく⇒コネクタの自作!電子工作の圧着工具と圧着方法
コネクタケーブル表を参考に、コネクタに配線を圧着していきます。
ここまで来たら火入れです。問題があったときに手直ししやすいように、基板の洗浄やハヤコートのコーティンの前に動作確認しておくわけです。バリコンやロータリーエンコーダー抜きで出来る範囲で大丈夫でしょう。
また、メイン基板上の4つの半固定VRは、前面基板を組み付けると調整することができませんので、この時点で調整しておきます。後述の「調整方法」を参照してください。
ケーブルを接続したら電源(4.8V~6V)を投入します。電流は30mAくらいのはず。ソースをビルドしPickKitでファームを書き込んだらこのような表示が出てAM送信状態になります。周波数の変更とバリコンの操作はできませんが現時点ではこれでOK。
めでたく動作確認と調整ができたら配線を外し、メイン基板を洗浄した後にロータリーエンコーダーを取り付けます。
そして前面基板とメイン基板を仮組みして具合を確認しておきます。
送信同調ありの場合はここでバリコンを付けます。仮組みしてバリコンの端子を差し込みハンダ付けします。
本組の準備に入ります。
ケーブルを取り付け、操作のじゃまにならないように2mm幅の極細結束バンドで固定します。
オーディオ入力のケーブルは後なので、ここでは結束バンドを付けておくだけです。
送信同調ありの場合は、一次側と二次側それぞれの巻線をほどいて動作確認しながら調整するんですが、少々手間がかかります。
同調回路なしのセットでは基本的にゲインの調整だけで済むので簡単です。
後述の「調整方法」を参照してください。
前面基板とメイン基板を本組してバーアンテナを結束バンドで固定します。両側下部にスポンジタイプの両面テープを挟み込むと良い。
ケースの加工に入ります。
加工図は「外形.pbf」をmikanで開いて外形レイヤを印刷したものですが、表裏が逆になる面があるので要注意。
Φ6とかΦ8の穴をドリルで開けると、貫通の瞬間にケースが割れて大ショックを受けるのがオチです。
最初Φ3位で空けてからリーマーで広げるようにします。
オーディオ入力ジャック穴とアンテナ端子穴、そして基板固定用の穴だけでOK。
アンテナ端子は秋月とかで売っているテストピンジャックを使いました。
配線端子が長すぎるのでカットしておきます。
コネクタは入力ジャックのナットに通らないので通してからハンダ付け。
せっかくの自作コネクタなんで、後からハウジングを付けるやり方でも良いですね。
ここまで来たらケースに組み込みます。
仮止めしておいたビスを外して底面にスペーサーを挟み込ませる必要があるので工夫が必要。
まず、長めの結束バンドで前面基板とメイン基板を仮固定し、スペーサーをアロンアルファでくっつけておく。
コネクタとボリュームの間にオーディオ入力ジャック本体を入り込ませる。
ケースのフタは外しておきます。
結束バンドを切断して取り除きます。
エアダスターでシューッとホコリを吹き飛ばし、最後にゴム足を貼る。
インスペクションルーペ SL-54 電子工作、特に表面実装部品のハンダ付けに超オススメ!というか、これがないと作れないと言ってもいいんじゃないでしょうか。 |
テーパーリーマー TR-01 エンジニアのテーパーリーマーで孔開範囲はφ3~12mm。他にもサイズあり。ケース加工には欠かせないツールです。 |
モンキー@ポケット TWM-06 ボリュームやスイッチなどの薄型ナットの締め付けにオススメです。ラジオペンチでやると傷つけやすいですからね。 |
調整方法
本作では、バーアンテナと5個の半固定VRの調整が必要です。オシロが無くても出来ないこともないですが、なるべくオシロを使った方が良いですね。
各VRは、あらかじめ回路図中に記載されている抵抗値に目分量で合わせておき、以下の順番で調整していきます。
テスト用正弦波信号の入力レベルを調整します。
回路図中のQ1の出力、P1の位置が約300mVppになるように調整します。
キャリア入力レベルを調整します。
回路図中のNVM2594へのキャリア入力、P2の位置が約100mVppになるように調整します。
NJM2594のキャリアリークレベルを調整します。
100mVppのキャリア(1008KHz)と、300mVppの正弦波信号(1KHz)を入力した時、その出力(P3)での変調率が約70%になるように調整します。この調整をするときは、P3の電圧が狂わないように必ず出力段(Q2)のコレクタをVCC(4.8V)に接続してから行います。
より詳しく⇒AM変調率と信号レベルの計算ツール
変調率は上の式で求めます。aは波形の最大幅を表し、bは最小幅を表します。
当方での調整後の実測値は、NJM2594のSIG(6pin)が約1.95Vになりました。
また、その時の出力レベル(P3)は550mVppが得られました。
出力レベル電圧を調整します。
PICのADCで読み取るUTC7642LのAGC電圧が適正になるように調整します。ただ、このVRは適当でも良くて、真ん中くらいに合わせておけば大丈夫。電圧が高すぎたりしてレベルがちゃんと読めない時に調整します。
出力段のゲインを調整します。
ゲインが高すぎるとアンテナ出力の波形が潰れるので、潰れない手前までゲインを上げます。オシロで波形を確認しながら行うと楽ですが、ラジオで受信した音の歪具合で分からなくもないです。
このVR6だけはバーアンテナの調整と同時に行います。前面基板にドライバー挿入用の穴があるので、バーアンテナを固定する前なら前面基板の仮組み状態でも調整できます。
バーアンテナの調整
送信同調ありの場合
出力を高めるため、コイルはフェライトバーの中央に配置するのがポイントです。
共振周波数が仕様内に収まるように一次側の巻線をほどいてインダクタンスを減らします。計算では約190uHになりますが、当方で実際に試した結果でもそうなりました。
① 送信周波数を最低(513KHz)にして、負荷に何も繋がずに共振するまで一次側の巻線をほどきます。(バリコンは最低位置よりちょっとだけ上げた位置にする)
② 送信周波数を最高(1620KHz)にして、22pFのコンデンサを負荷に接続し、バリコンを右に回していくと共振できることを確認します。
一次側のコイルをほどいていきます。
ハックルーで留められている箇所はこのように内側から引っぱります。
共振しているかどうかは、出力レベルが急に上がるのでわかります。オシロで確認する場合は、プローブ容量が加算されないように470K程度の抵抗を直列に入れて計測してください。LCDで表示しているレベル表示でも確認できます。
問題なければ、想定している周波数範囲全てに同調できるはずです。
波形が潰れず、出力(一次側の両端電圧)が高くなるようにゲイン調整(VR6)をしつつ、二次側の巻線をほどいてインダクタンスを減らしていきます。実験の結果、どのバーアンテナでも約2uHが適切ということが分かっています。
出力電圧はバリコンの耐圧もあるので、100V以下に抑えておく方が良いでしょう。
潰れた波形はこんな感じです。
音を聞いても割れた感じの音質になります。
155Vppも出ているのでバリコンの耐圧に注意が必要。電力は低いので触ってもビリビリはしません。
正常な波形はこんな感じです。
これでもよく見ると、谷間が鋭く少し歪んでいますが、ゲインを下げるときれいになります。
また、バリコンの耐圧を超えるかもしれないので100V程度にしておく方が無難ですね。
2uHはΦ10mmのバーアンテナだと約4ターン。波形がキレイ&出力レベルが最も高くなる巻数を探ってもよいのですが、結構手間がかかるので4ターンくらいの位置までほどいておいて、後はゲイン調整で仕上げるのも良いでしょう。
送信同調なしの場合
バーアンテナのコイルを中央に持ってきて、出力段のゲイン調整(VR6)をします。ゲインを下げても出力波形(一次側の両端電圧)が潰れる場合は、二次側のインダクタンスが高すぎるので、ほどいて容量を少なくします。潰れないなら何もしなくてもOK。
当方では2V59M(二次側は約23uH)を使用しましたが、そのままで大丈夫でした。
送信周波数は、最低(513KHz)と中央(1008KHz)と最高(1620KHz)にて確認するようにします。
ちなみに、コイルをフェライトバーの端に持ってくるとインダクタンスが減るので波形の潰れは改善しますが、飛距離が落ちるため中央位置での使用をオススメします。
送信同調回路付きから無しへの変更
参考までに、送信同調なしへの変更過程を掲載しておきます。とはいっても、替えのバーアンテナさえあれば簡単です。
バリコンを外します。
実際には、バリコン本体は外さずに単にハンダを取り除いて接続を外しただけ。バリコンはただの飾りになりました。
バーアンテナを取り替えます。
もう一本用意していたスーパー用のバーアンテナ「2V59M」を台座から外し、コイルの位置を真ん中にして取っ替えただけです。
以上で完了。
送信段のゲイン調整(VR6)を再調整した結果、100Ωから70Ωになりました。
ファームウェア
プログラム処理
そんなに大したことはやっていません。割り込みは使っておらず、DDSの設定や各種入力などをグルグルと回しているだけです。
DDS(AD9833)の周波数設定
AD9833との通信はSPI(3線式シリアル)によって行います。PICのSPIモジュールを使ってもよかったのですが、今回はデータシートに載っているタイミングチャートに基づきポートを直接操作して通信を行っています。
初期化時にコントロールレジスタに正弦波を出力する設定をした後、ロータリーエンコーダーの操作に応じて周波数レジスタに値を設定します。周波数レジスタの値は下の式により求まりますが、非力な8ビットPICを使うので都度計算するのではなく、あらかじめエクセルで計算しておいた値をテーブル化しています。(ddstbl.h)
FREQREGは28ビット値、2の28乗は268435456、MCLKは25MHzです。
この他、AD9833には位相レジスタもありますが、本作では位相の操作は行わないので使いません。
ソースとビルド
ソースファイルは3ファイルだけです。他に必要なライブラリとか何もありません。
MPLAB X IDE で「PIC16F18346」の空プロジェクトを作り、3つのファイルを追加してビルドすればOK。
使用したIDEバージョンは下記の通りですが、特殊なことなんぞやってないので以降のバージョンでも問題ないでしょう。
MPLAB X IDE:v4.05
XC8:v1.45
MPLAB- X IDE | Microchip Technology Inc.
ちなみに当方では、PICkit3 を使って書き込みやデバッグをやってます。
PICkit3 Microchip正規品。PICへのプログラムの書き込やデバッグができます。最近では安い中国製の互換品も出回っていますが微妙です。 |
使い方とか
アンテナ線
黄端子はホット側、黒端子はアースやカウンターポイズとして使います。
自作したアンテナ線。
当方では、送信同調なしの回路で使うことにしたので普段は内蔵バーアンテナしか使いませんが、ちょと信号が欲しい時とかに取り出せるようにしました。
ケースに収容できるのもポイント。
同調回路ありのセットでは、数メートルのビニール線を付けるとよく飛びます。ワニ口クリップを付けると、カーテンレールとか色々ハサめるので便利。
LCDの表示内容
液晶ディスプレイの表示内容です。
通常の表示状態。
送信周波数と送信レベルを表示します。左上のクジラの噴水みたいな文字は遊びゴコロです。
送信同調回路が付いている場合、この送信レベルを見ながらバリコンを回して共振ポイントを探ります。また、送信周波数やアンテナ線の形態によっても変化します。
テスト信号周波数表示状態。
テスト信号に切り替えたりその周波数を変更すると2秒間表示します。
AUDIO入力表示状態。
AUDIO入力に切り替えると2秒間表示します。
ローバッテリー表示
電池電圧が4.5Vを下回ると、パワーインジケータLEDを点滅してお知らせします。
この終止電圧は、ニッケル水素電池(1.2V)使用を想定しており、ソースの「LOBAT」マクロで設定しています。
動作検証
AMラジオで聴いた感じ
テストに使ったラジオです。
ストレートラジオは組み立てキットラジオ。7642系のワンチップAMラジオICが使われているものです。
まともなラジオとしては、ELPAのER-C56Fを使いました。高感度なDSPラジオです。
送信同調ありの場合、中高音レベルが低いためこもったような音で、しかも小さめです。変調度を上げると低音域の影響で音が歪んでしまうので、音楽のようなソースは合いません。中音がメインの信号なら良さそうです。
送信同調なしの場合、送信している音声はフラットな周波数特性ですので、受信側で決まってくると思います。ヘッドホンで聴いてみました。
ストレートラジオでは一般に周波数特性が高域まで伸びているので、とても良い音に聴こえます。AMなのに、モノラルの安物FMみたいな感じです。
スーパーラジオやDSPラジオでは、耐混信性やノイズ低減のために、あえて受信帯域が狭くしてあります。そのため、普通の放送に近い音で聴こえます。ただ、よく聴いてみると本作の音は非常に素直で丁寧な音がします。放送局の音声信号はドルビー的な技術で中音域に圧縮してあるので、本質的に違う部分があるんですね。
TEKNON FMAMラジオキット SONYのICF-51のデザインとPanasonicの雰囲気をパクったロゴがウケます。aitendoでもK-210という型番で売ってます。 |
ICF-51W こちらがそのデザインをパクられた疑惑のあるソニーのFM/AMポータブルラジオ。小型で扱いやすい人気のラジオです。 |
ER-C56F 見た目と性能とお値段のバランスがよく人気のFM/AMラジオです。DSPラジオなので高感度で選択度も申し分ないですね。 |
送信距離
送信周波数1035KHzで飛距離を測ってみました。
使ったラジオは感度が良いER-C56F。キットのストレートラジオで受信した場合は、ER-C56Fの約半分以下になりました。
アンテナ線無しでは限界約8メートル、ノイズの少ない状態で聞こえる距離は最大2メートルくらいです。
数メートルのビニール線をアンテナ端子に接続した場合では限界約20メートル以上と、家中ならどこでも届くレベルになります。
アンテナ線無しでは限界約5メートル、ノイズの少ない状態で聞こえる距離は最大1.5メートルくらいです。
数メートルのビニール線をアンテナ端子に接続した場合では、限界約10メートル程度まで届きました。ただし、アンテナ線を付けたら必ずそうなるかというとそうでもなく、ちょっとした形や長さの違いで距離が伸びたり縮んだり音質が極端に劣化したりと不安定です。バーアンテナ専用で使った方が良さそうです。
送信同調ありの送信出力波形
同調回路を付けた場合は、その共振効果により高い送信電圧と安定性が得られます。その代わり送信周波数帯域が狭まるため、中音域以上の音声信号のレベルが低いです。
以下は、アンテナ端子の出力をオシロで計測した結果です。
約86Vppの出力が得られています。
というか、ゲイン調整により130V以上にも上げれるのですが、電圧が高くなると波形が潰れるのでこの電圧に抑えてあります。
変調レベルが著しく低下しています。同調回路により、キャリアのサイドバンド20KHz成分が減衰されるためです。同調回路のQ(選択度)が高いほど、中高音域の成分は減衰します。
1KHzの時よりやや変調度が下がっています。低域側も少し苦手なようです。
時間軸を拡大したところ。基本波の波形は全く問題なしです。
最低送信周波数での送信波形。
1008KHzの時より34V(約40%)の電圧低下が見られます。低周波が苦手なようです。
※カウンターは483KHzを指してますが谷間でのカウントミスで実際は513KHzです。
最高送信周波数での送信波形。
1008KHzの時とほぼ同じです。
送信同調なしの送信出力波形
同調回路がない場合は送信周波数帯域が広いため、音声信号の周波数特性もほぼフラットな特性が得られます。その代わり送信電圧が低く、アンテナ端子への接続の影響を受けやすいです。
以下は、アンテナ端子の出力をオシロで計測した結果です。
約16Vppの出力が得られています。
というか、ゲイン調整により20V以上にも上げれるのですが、電圧が高くなると波形が潰れるのでこの電圧に抑えてあります。
素晴らしい!1KHzの時とほぼ同じ変調度です。かなりフラットな周波数特性であることを示しています。
これなら、AMラジオの受信音声の周波数特性もしっかり把握できますね。
1KHzの時よりやや変調度が下がっていますね。高域側より低域側の方が少し苦手なようです。
時間軸を拡大したところ。基本波の波形も美しく全く問題なしです。
最低送信周波数での送信波形。
1008KHzの時とほぼ同じです。
最高送信周波数での送信波形。
1008KHzの時より出力電圧が3.7V低下。高い送信周波数が少し苦手ないようです。
※カウンターは1.424MHzを指してますが谷間でのカウントミスで実際は1.62MHzです。
XDS3202A 最大1GS/s 14bitAD 200MHzバンド幅のデジタルオシロスコープ。タッチ式スクリーンは広くて見やすいです。 |
消費電流
テスト号の送信時、設計では34mAと計算されましたが、実測では約32mAになりました。送信周波数やアンテナ線の有無にはほとんど影響されません。
eneloopだと約30時間は連続で使えそうです。
なお、AUDIO入力に切り替えるとAD9833(IC4)を停止させるので28mAになります。
ダウンロード・ツール
製作に使用した全ファイルです。無断で二次配布することはご遠慮ください。ご紹介いただく場合は当記事へのリンクを張ってください。連絡は不要です。