暗くなると点灯するLEDランプ(HT773Aでプチ電子工作)

暗くなると点灯するLEDランプ(プチ電子工作)

少々小ネタですが、当方の中では簡単ながらとても重宝する実用作品のベスト3に入るモノなので、プチ電子工作シリーズとしてあえてご紹介させていただきます。

暗くなるとフワッと点灯し、1分くらいしたらスゥ~っと消えるLEDランプです。

夜寝る時に明かりを消した後、暗闇に慣れていない目でさまよいながら布団までフラフラと歩いていくといった環境にうってつけです。

また、ミニチュアやドールハウスの照明としても重宝します。
それらに付いている照明は、普通はスイッチを操作して点灯させるものがほとんどですが結構面倒ですよね。最初のうちは時々点けてみたりもするかもしれませんが、そのうち飽きてくるとスイッチを操作してまで点けるのが面倒になってきます。

そんな照明に本作を利用すると、毎晩消灯時に自動点灯してくれるので便利というか、作品の存在を引き立ててくれます。

ちょっと簡単すぎて面白みに欠けるかもしれませんが、ちゃんと作れば末永く活躍してくれるアイテムになります。

昔の雑誌にもあった

この手のランプは「初歩のラジオ」など昔の電子工作ネタとして時々登場していました。
下の回路のような、単安定マルチバイブレーターを利用したアナログ式の回路です。

アナログ式就寝等の回路図

昔は白色やウォーム色のLEDは無かったので、電球を使うのが普通でした。

この回路では、明るさの変化に反応するようになっているため、周りが明るくても変化しさえすれば点灯してしまうという欠点があります。また、感度や点灯時間の調整などが手軽にできません。

これを、PICマイコンを使って、現代の電子工作レベルにアレンジしたのが本作です。

回路図

デジタル式就寝灯の回路図

電源電圧は、エネループなどのニッケル水素電池を想定し1.8V~3Vとしています。そして、電池電圧が低下しても暗くならないように、ステップアップDC/DCコンバータ(HT7733A)で3.3Vを作っています。

HT773Aは電子工作ではメジャーなICで、作例も多くありますね。データシート

L2にはSMDのインダクタ NR10050T101M (1.3A)を使いました。DC抵抗が大きいと効率が悪くなるので注意が必要です。

光センサとしてCDSを使い、PICのADCに入力して明るさと変化を1秒おきに検出します。点灯する時は、DC/DCコンバータの電源SWであるMOSFET(Q1)をONにします。

LEDをフワッと点けたり消したりするために、もう一つMOSFET(Q2)によるスイッチを設けて、PICからLEDをPWM制御しています。

出力は、3.2~3.3Vで約200mA程度まで取り出せます。LEDが明るすぎる場合は必要に応じて電流制限抵抗を挿入します。

あと、この回路の重要なポイントは、470uH(L1)と220uF(C2)によるPICの電源ラインフィルタです。これがないと、Q1をONにしてLED回路に電源を投入した瞬間、電源ラインに大きなディップが生じるため、PICがブラウンアウトリセットしてしまいます。

製作・応用例

わざわざかもしれませんが、小型にしたかったため基板を自作して作りました。下の方で、一応パターンを公開しておきます。

より詳しく⇒プリント基板の自作!感光基板を使った作り方で簡単製作

基板実装例ガラスコンポジット基板(1mm厚)を使いました。末永く使えるようにするにはハヤコートも欠かせません。

あと、PHコネクタを使っています。
より詳しく⇒コネクタの自作!電子工作の圧着工具と圧着方法

以下は、とあるドールハウスに組み込んだ例です。

基板本体の装着100均にあったクリップ入れかなんかのケースに基板を入れて、後ろ側に固定。
LEDとCDS、電池ボックスを接続しています。

CDSの取り付けセットの上部の後ろ側にCDSを取り付け。

ウォーム色のLEDを全部で5つ接続しています。

エネループだと、LEDを5個使った場合、毎日1~2回、1分間の表示だと、約半年~10ヶ月くらい持ちます。

ソフトウェア

無限ループで、CDSからの入力をもとに明るさと変化をチェックしています。

チェック間隔は、昼は1秒おき、夜は250msおきになっていて、何もしていない時はSleepすることで消費電力を抑えるようにしています。

暗くなったら点灯し、1分程したら消灯するわけですが、この時PWM制御を行ってフワッと感を出しています。

もちろん、明るさや点灯時間などは簡単に変更することが出来ます。

ソースとビルド

今回は大したソースではありませんが、一応公開しておきます。

ソースファイル(c/hファイル in ZIP)

解凍して出てきたプロジェクトをパソコン上の適当な場所にコピーして、MPLAB X で開けばビルドできます。ビルドに必要な外部ライブラリなどはありません。

使用したIDEのバージョンは下記の通り。

MPLAB X IDE:v5.15
XC8:v2.05

MPLAB- X IDE | Microchip Technology Inc.

書き込みやデバッグには PICkit3 を使いました。

PICkit3PICkit3
Microchip正規品。PICへのプログラムの書き込やデバッグができます。最近では安い中国製の互換品も出回っていますが微妙です。

ダウンロード・ツール

製作に使用した全ファイルです。無断で二次配布することはご遠慮ください。ご紹介いただく場合は当記事へのリンクを張ってください。連絡は不要です。

基板パターン図(pbfファイル in ZIP)
ソースファイル(c/hファイル in ZIP)
全パーツリスト(タブ区切り)

pbfファイルを開くツール:mikan基板CAD
ファームウェア開発環境:MPLAB-X IDE